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V2H派だった我が家が、蓄電池も導入した理由|トライブリッドを選ばなかった判断

カテゴリ:導入検討 / 最終更新:2026年8月

「蓄電池は高いから、電気自動車を蓄電池代わりに使えばいい」——これが5年前の我が家の結論でした。実際に太陽光とV2Hだけで運用し、据え置きの蓄電池は入れていません。ところが今回、太陽光の増設にあたって据え置き蓄電池も導入すると決めました。しかも、太陽光・蓄電池・V2Hを1台でまとめるトライブリッド型ではなく、あえて別々の構成を選んでいます。考えが変わった理由を書きます。

執筆:ソーラー収支ラボ 運営者
福岡県で太陽光4.18kW+V2H(単機能型)を運用中。蓄電池14.3kWhと太陽光の増設は導入予定です。記事はHEMSの実測値・検針票・メーカーのカタログ値にもとづいて書いています。運営者情報
これは運営者宅の判断であって、どの家にも当てはまる正解ではありません。屋根の形、契約している料金プラン、車の使い方によって、答えは変わります。判断の材料をどう並べたかを参考にしていただければと思います。

きっかけは「太陽光を3倍にすると、余りが増える」こと

今回の増設で、太陽光は4.18kW から 13.00kWへと約3倍になります。既存のソーラーフロンティア4.18kWに、LONGi 490W×18枚(8.82kW)を追加する構成です。

発電量が3倍になっても、家で使う電気の量は変わりません。つまり増えるのは、そのままでは使いきれない余剰の電気です。この余剰をどう扱うかが、設備構成を決める論点になりました。

加えて、我が家の屋根は4つの方向に面が分かれています。方位が違えば発電のピーク時刻もずれるため、実際にどれだけの量が同時に発電し、どれだけがパワコンの上限で頭打ちになるのかは、データを取ってみるまで正確には読めません。読めない以上、余剰を受け止める先は確保しておきたい、と考えました。

V2Hだけでは受け止めきれないと判断した理由

「余剰が増えるなら、V2Hでもっと車に貯めればいいのでは」と思われるかもしれません。実際、それも検討しました。しかし5年運用してみて、V2Hには構造的な弱点があることが分かっています。

1. 往復効率が65%前後にとどまる

単機能型のV2Hは、太陽光の直流を一度交流に変換し、車に入れるときにまた直流へ戻します。放電時にもさらに交流へ変換します。この変換のたびに電気が目減りし、実測では往復で65%前後でした。100kWh貯めても、使えるのは65kWhです。

2. 車がないと使えない

当たり前の話ですが、車で出かけているあいだは家に電気を回せません。また走行に必要な分は残しておく必要があるため、いつどれだけ家に回せるかが読めません。据え置きの蓄電池のように「常にそこにある」設備とは、性質が違います。

3. 単機能型は手動の操作が前提になる

理想的な動きをさせようとすると、単機能型では多少の手動操作が必要になります。毎日きちんと運用するのは、現実にはなかなか続きません。

蓄電池が有利なのは「直流のまま貯められる」から

今回選んだ蓄電池(HUAWEI LUNA2000)は、同じメーカーのハイブリッド型パワコンと組み合わせることで、太陽光の直流を、交流に変換せずそのまま蓄電池へ送れます。いわゆるDC結合です。

変換の回数が減れば、失われる電気も減ります。往復効率でいえば、V2Hの65%に対して蓄電池は85〜90%程度。同じ余剰でも、あとで使える量が大きく変わります。

余剰電力の行き先ごとの価値の比較余った1kWhをどこへ送ると、いくらの価値になるか(参考単価:昼 26.84円 / 夜 13.21円 / 売電 FIT中19円・卒FIT後8.5円)そのまま売る(FIT中)19.0円変換なし蓄電池に貯めて昼に使う23.4円往復87%・DC結合V2HでEVに貯めて昼に使う17.4円往復65%・AC変換あり蓄電池に貯めて夜に使う11.5円夜は単価が安いV2HでEVに貯めて夜に使う8.6円効率も単価も不利この線より右=売るより得FIT期間中は「売る」もそれなりに強い。ところが卒FIT後は売電が8.5円まで落ちるため、同じ1kWhでも「貯めて昼に使う」23.4円との差が約3倍に開く。設備は20年以上使う。
同じ1kWhでも、行き先と使う時間帯で価値が変わる。蓄電池は太陽光から直流のまま貯められるため損失が小さく、V2Hは交流への変換が挟まるぶん目減りする。なお夜間の単価が安い契約では、FIT期間中にかぎり「売る」ほうが有利になる時間帯もある。

ここで注意していただきたいのは、「貯めれば必ず得」ではないという点です。上の図のとおり、我が家の契約は夜間の単価が安いため、FIT期間中にかぎっては、夜に使うために貯めるより売ったほうが有利になります(11.5円 対 19円)。

それでも蓄電池を入れる判断をしたのは、設備を20年以上使うからです。固定価格買取が終われば売電単価は8円台まで落ちます。そうなると「売る8.5円」と「貯めて昼に使う23.4円」の差は約3倍。今の10年ではなく、その先を見て決めたという整理です。

ではなぜトライブリッドにしなかったのか

太陽光・蓄電池・V2Hを1台でまとめるトライブリッド型なら、変換の回数はさらに減ります。当初は、既存パネルも載せ替えてV2Hも交換し、まとめてトライブリッド化することを考えていました。実際に検討して、見送っています。

理由1:蓄電池そのものの性能と拡張性

システム全体の効率だけでなく、蓄電池単体の性能や、あとから容量を足せるかも比べました。総合的に見て、HUAWEIの蓄電池のほうが良いという判断になりました。効率の良い箱に、性能の劣る電池を入れても意味がありません。

理由2:将来トライブリッド化できる余地が残る

ここが決め手でした。今回導入するHUAWEIのパワコンには、V2Hを接続する箇所が最初から備わっています。つまり将来、同メーカーのV2Hが登場すれば、パワコンを買い替えずにトライブリッド構成へ移行できる可能性があります。

ただし正直に書くと、その日本仕様のV2Hはまだ開発中で、いつ出るか、そもそも出るかも分かりません。ここは確実な話ではなく、賭けの部分です。国のEV充給電設備の補助金が増額され需要が高まっていることから、開発が進む可能性はあると判断しました。

理由3:V2Hの交換は、そもそも1年待つ必要があった

新築時に受けたZEH補助金の保有期限が残っていたため、V2Hを国の補助金で入れ替えるのは1年待つ、という制約がありました。詳しくは補助金は待つべきか、今導入すべきかに書いています。

V2Hを今すぐ交換できない以上、今回はトライブリッドにしようがなかったというのが実際のところです。だからこそ「将来トライブリッド化できる余地」に価値を置きました。

5年前と変わったこと

5年前、我が家が蓄電池を見送った理由は単純で、高かったからです。当時は「据え置き蓄電池がkWhあたり3万円台まで下がれば検討の余地がある」と考えていました。電気自動車が動力性能込みでkWhあたり8万円台だったことを思えば、据え置きで高いのは割に合わない、という感覚です。

その後、蓄電池の価格は下がりました。今回の構成は太陽光の増設と蓄電池を含めて総額314万円、自治体の補助金20万円を差し引いて実質294万円です。5年前の感覚からすると、判断を変えるだけの変化がありました。

なお、同じ構成でも見積もりによって100万円以上の開きがありました。パネルメーカーが少し違うものの、450万円ほどになる見積もりもあります。今回は8.5万円ほど安い業者もありましたが、工事の信頼性を比べて決めました。金額だけで決めなかった理由は相見積もりの見方に書いています。

まとめ:構成は「今の最適」より「動かせる余地」で選んだ

設備は一度入れると簡単には変えられません。だからこそ、今の時点で最も効率の良い構成を追うより、あとから動かせる余地が残る構成を選びました。これが正解だったかは、数年後に実測で答えが出ます。導入後のデータは我が家の電力収支ノートで公開していきます。

ご自宅の場合に蓄電池とV2Hのどちらが効くかは、シミュレーターで試算できます。蓄電池の容量やV2Hの種類を切り替えて、年間のメリットがどう変わるかを比べてみてください。

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