パワコンを2台にする意味とは?蓄電池の拡張性まで実例で解説
太陽光の見積もりで「パワーコンディショナ2台」という構成を提示されて、「1台じゃダメなの?」と疑問に思う方は多いはずです。この記事では、筆者宅で実際に確定した見積もり構成(太陽光13.00kW+パワコン4.95kW×2台+蓄電池14.3kWh)を例に、パワコンを2台にする理由と、モジュール式蓄電池の拡張性という考え方を解説します。
福岡県で太陽光4.18kW+V2H(単機能型)を運用中。蓄電池14.3kWhと太陽光の増設は導入予定です。記事はHEMSの実測値・検針票・メーカーのカタログ値にもとづいて書いています。運営者情報
実例の構成
題材にするのは、次のような住宅用システムの実際の見積もり構成です。
| 機器 | 内容 |
|---|---|
| 太陽光パネル | 合計13.00kW(既存 ソーラーフロンティア4.18kW + 増設 LONGi LR7-54HVH-490M 490W×18枚=8.82kW) |
| パワーコンディショナ | HUAWEI SUN2000-4.95K-LB0-NH × 2台=合計9.9kW(2台とも新設) |
| 蓄電池 | HUAWEI LUNA2000-4.95-14-NHS1/公称14.3kWh・初期実効13.4kWh |
| 切替盤 | 全負荷型・単相3線式の自動切替盤 |
パネル13.00kWに対して、パワコンは合計9.9kW。つまりパネルのほうが1.31倍多い構成です。この「2台」と「あえてパネルを多めに載せる」という組み合わせに、それぞれ意味があります。
パワコンを2台にする3つの理由
理由1:ピークカット(発電の頭打ち)を抑える
パワコンは、パネルが発電した直流を家庭用の交流に変換する装置で、変換できる電力には上限(定格容量)があります。パネル13.00kWに対してパワコンが4.95kW1台だと、晴天のピーク時に上限を大きく超えてしまい、超えた分は捨てられます。これが「ピークカット」です。
2台にして合計9.9kWにすれば、受け止められる量が倍になり、カットされる量を大きく減らせます。ただし今回の構成ではパネル13.00kWに対して9.9kWですから、真夏の正午前後など発電が最も伸びる時間帯には、それでもカットは発生します。
とはいえカット量は屋根の方位構成や地域の日射で変わるので、見積もりの段階で「この構成で年間どれくらいカットされる見込みか」を販売店に確認しておくと、発電量の予想がぶれません。
理由2:複数の屋根面(方位)を効率よく管理する
この実例では、パネルが複数の方位に分かれています。方位が違えば、太陽の当たり方も発電のピーク時刻も面ごとに異なります。パワコンには、パネルのグループ(ストリング)ごとに発電を最適化するMPPTという仕組みがあり、2台に分ければ扱えるストリング数が増え、方位の異なる面をそれぞれ最適な条件で稼働させやすくなります。複雑な屋根ほど、この恩恵は大きくなります。
筆者宅の場合は、増設する新規パネル3回路をメイン側のパワコンに、既存のソーラーフロンティア4.18kWをサブ側のパワコンに割り当てる構成です。世代もメーカーも違うパネルが同じ屋根に載ることになるため、別々のパワコンで扱えるのは都合が良い、という事情もあります。
理由3:合計を10kW未満に収める
住宅用太陽光は「10kW未満」の区分で扱われます。4.95kW×2台=9.9kWという数字は、2台使いながらも合計を10kW未満に収める、この区分を意識した容量設定です。4.95kWという中途半端に見える定格には、こうした制度上の背景があります。
ハイブリッド型パワコンと蓄電池の関係
この実例で増設するパワコンは、太陽光と蓄電池の両方を扱えるハイブリッド型です。太陽光の直流を、交流に変換せず直流のまま蓄電池に充電できるため、変換ロスが小さいのが利点です。単機能V2Hとトライブリッドの比較で解説した「変換回数が少ないほど効率が良い」という原則が、パワコンと蓄電池の関係にもそのまま当てはまります。
蓄電池を後から検討する場合も、最初にハイブリッド型パワコンを入れておけば、パワコンの交換なしで蓄電池を追加できます。逆に、太陽光専用パワコンだと、蓄電池追加時に別のパワコンが必要になり、構成が複雑になりがちです。将来の蓄電池を少しでも考えているなら、パワコンのタイプは最初の分岐点です。
蓄電池の「拡張性」という考え方
近年の家庭用蓄電池の多くは、決まった容量のユニットを積み重ねて総容量を決めるモジュール式です。たとえば7kWhのユニットを2つで14kWh、といった形です。この方式の良さは、容量を後から足せることにあります。
- スモールスタートできる:最初は7kWhで始めて、生活の変化(EV購入・在宅勤務・家族が増える)に合わせてユニットを追加する、という段階的な投資ができます。
- 容量の過不足を修正できる:蓄電池の適正容量は「夜間に使う電力量」で決まりますが、導入前の見積もりは外れることもあります。モジュール式なら、実際に使ってみて足りなければ追加、という後出しの修正が効きます。
- 全負荷型なら停電時も家全体で使える:全負荷型の自動切替盤が入っていれば、停電時に家中のコンセント・エアコンが使えます。特定負荷型(決めた回路だけ)との違いは、災害時の生活の質に直結します。
見積もりでチェックすべきポイント
- パワコン容量の合計とパネル容量の関係:ピークカットが起こる構成か、起こらない構成か。どちらの設計思想かを確認する。
- パワコンはハイブリッド型か:蓄電池を今つけない場合でも、将来の追加を見据えるなら重要。
- 蓄電池はモジュール式か、拡張の条件は何か:後から足せる容量と期限を書面で確認する。
- 全負荷か特定負荷か:停電時にどこまで使えるかは切替盤で決まる。
- 保証年数:パワコン・蓄電池の製品保証(この実例では15年、延長オプションで20年)も忘れずに。
まとめ
- パワコン2台の主な理由は、過積載でも発電を受け止めること・複数方位の最適化・10kW未満の維持
- ハイブリッド型パワコンなら蓄電池と直流のまま連携でき、効率が良く将来の追加も簡単
- モジュール式蓄電池は「後から足せる」のが強み。スモールスタートと容量修正が可能
- 全負荷/特定負荷の違いは停電時の生活の質を左右する
パワコンや蓄電池の容量による経済効果の違いは、シミュレーターで容量を変えながら試算できます。7kWhと14kWhでどれだけ変わるかも、自宅の使用量で確認してみてください。