V2H・蓄電池を外出先からスマホで見る方法|ラズパイで作る手順(初心者向け・結果チェッカー付き)
V2Hの公式アプリが家のWi-Fiでしか使えず、外出先から状態を見られない――そんな不便を、小さなパソコン「ラズパイ(Raspberry Pi)」を家に置いて解決する手順です。我が家で実際に作った仕組みを、誰でも使えるキットにしました。
各ステップには結果チェッカーが付いています。コマンドを実行して出てきた文字をそのまま貼り付けると、正常かどうかと、うまくいかないときの対処をその場で表示します。貼った内容はこのページの中だけで判定し、どこにも送信しません。分からないところがあれば、お問い合わせください。
・V2H(クルマの電池残量、充電中・放電中)、蓄電池(残量、充放電)、太陽光(いまの発電)をスマホで見る
・外出先からも見られる(家のルーターの設定は変えません)
・iPhoneのホーム画面にアイコンを置いて、アプリのように使う
前提として、V2H・蓄電池・太陽光がECHONET Lite(エコーネットライト)に対応していて、家のネットワークにつながっている必要があります。目安は「メーカーのアプリやHEMSで、家の中から機器の状態が見られる」ことです。
所要時間は、慣れていない方で1〜2時間ほどです。作業は自己責任でお願いします。
1必要なものをそろえる買い物・約1.5〜2.5万円
家に置いて24時間動かしっぱなしにする、小さなパソコンを用意します。
- Raspberry Pi 4(メモリ2GB以上)または Raspberry Pi 5 本体です。どちらでも動きます。
- 本体に合った公式の電源アダプター Pi 4はUSB-C 5V/3A、Pi 5はUSB-C 5V/5A。電源が弱いと不安定になるので、公式品がおすすめです。
- microSDカード 32GB以上 長時間の書き込みに強い「高耐久」タイプが安心です。
- ケース ほこりや接触を防ぎます。
- パソコン(Windows または Mac)と microSDカードリーダー 最初の設定に使います。
- (あれば)LANケーブル ルーターと有線でつなぐと、Wi-Fiより安定します。
価格は時期によって変わります。ラズパイの消費電力は3〜5W程度で、24時間動かしても電気代は月100円前後です。
2microSDカードにOSを書き込むパソコンで作業・約15分
ラズパイを動かすための基本ソフト(OS)を、公式の書き込みソフトで入れます。このとき、Wi-Fiやログインの設定も一緒に済ませておきます。
- パソコンに Raspberry Pi Imager(公式の書き込みソフト、無料)を入れて起動します。
- 「デバイス」で、使うラズパイ(Raspberry Pi 4 か 5)を選びます。
- 「OS」で Raspberry Pi OS (other) → Raspberry Pi OS Lite (64-bit) を選びます。画面なしで使う軽い版です。
- 「ストレージ」で microSDカードを選び、「次へ」を押します。
- 「OSのカスタマイズ(設定を編集する)」で、次のように入力します。
項目 入れる内容 ホスト名 v2hpi(この手順はこの名前で進めます)ユーザー名・パスワード 自分で決めます。忘れないようにメモしてください Wi-Fi 家のWi-Fiの名前(SSID)とパスワード。国は JP タイムゾーン Asia/Tokyo サービス(SSH) SSHを有効にする(パスワード認証) - 保存して書き込みます。終わったらカードを取り出します。
Imagerの画面の言葉は、版によって少し違うことがあります。「ホスト名」「Wi-Fi」「SSH」の3つを設定できていればOKです。
3ラズパイを起動して、パソコンから接続するSSH接続・約10分
microSDカードをラズパイに差し、ケースに入れて電源をつなぎます。(LANケーブルを使うなら、ルーターともつなぎます。)2〜3分待ってから、パソコンで次の画面を開きます。
- Windows:スタートメニューで「PowerShell」と入力して開く
- Mac:「ターミナル」を開く(アプリケーション → ユーティリティ)
次のコマンドを入力します。ユーザー名 は手順2で決めたものに置き換えてください。
ssh ユーザー名@v2hpi.local- 初めてのときは「Are you sure you want to continue connecting」と聞かれるので、
yesと入力してEnter。 - パスワードを聞かれたら、手順2のパスワードを入力してEnter(入力中は画面に何も表示されませんが、入力できています)。
4ラズパイを最新の状態にするコマンド1つ・約10〜20分
ここから先のコマンドは、すべて手順3で接続した画面に貼り付けて実行します。まず、ソフトを最新にして、Pythonの版を確認します。
sudo apt update && sudo apt full-upgrade -y && python3 --versionパスワードを聞かれたら、手順2のパスワードを入力します。文字がたくさん流れますが、最後に Python 3.〇〇 と出るまで待ってください。
5キットを入れるダウンロードとインストール・約5分
このサイトで配布しているキットをダウンロードして、インストールします。
cd ~ && wget -O v2h-remote-kit.zip https://solar-smart-life.com/v2h-remote-kit.zip && python3 -m zipfile -e v2h-remote-kit.zip . && cd v2h-remote-kit && bash install.shキットの中身(Pythonのプログラム)は、zipファイルをダウンロードして確認できます。
6家の中の機器を探すV2H・蓄電池・太陽光を自動で見つける・約1分
家のネットワークにあるECHONET Liteの機器を探して、見つかったものを設定ファイルに書き込みます。機器の設定を変えることはありません。
cd ~/v2h-remote-kit && .venv/bin/python setup_devices.py7動かして、家の中で表示を確認する約3分
キットを起動して、40秒ほど待ってから状態をまとめて確認します。
sudo systemctl restart v2h-remote && sleep 40 && ~/v2h-remote-kit/.venv/bin/python ~/v2h-remote-kit/doctor.py正常と出たら、家のWi-Fiにつないだスマホのブラウザで次のアドレスを開いてみてください。電池の残量などが表示されれば成功です。
http://v2hpi.local:8080ラズパイは電源を入れ直しても、自動でキットが起動します。
8外出先から見られるようにするTailscale・約15分
Tailscale(テイルスケール)という無料のサービスを使って、「自分のスマホ」と「家のラズパイ」だけをつなぐ専用の通り道を作ります。ルーターの設定を変える必要はなく、他の人からは見えません。個人で使う分には無料プランで足ります(執筆時点)。
8-1. スマホにTailscaleを入れる
App Store(Androidは Google Play)で「Tailscale」を入れて、GoogleアカウントやApple IDでログインします。
8-2. ラズパイにTailscaleを入れる
curl -fsSL https://tailscale.com/install.sh | sh && sudo tailscale up画面に https://login.tailscale.com/… というアドレスが出ます。それをパソコンかスマホのブラウザで開き、8-1と同じアカウントでログインします。
8-3. キットの画面をTailscaleで公開する
sudo tailscale serve --bg 8080 && tailscale serve status「HTTPSを有効にしてください」という案内とアドレスが出たときは、そのアドレスを開いて有効にしてから、同じコマンドをもう一度実行します。
9安全な設定にするコマンド1つ・約1分
ここまでの状態だと、家のネットワークにつながった機器なら誰でも http://v2hpi.local:8080 を開けます。Tailscaleの通り道からだけ開けるように切り替えます。
cd ~/v2h-remote-kit && bash lockdown.sh && .venv/bin/python doctor.py10スマホのホーム画面に置く約3分
- スマホのTailscaleアプリを開き、接続(オン)にします。
- Safari(Androidは Chrome)で、手順8で出た
https://v2hpi.〜.ts.netを開きます。 - 表示されたら、共有ボタン →「ホーム画面に追加」を選びます(Androidはメニュー →「ホーム画面に追加」)。
- Wi-Fiを切ってモバイル回線にしても、ホーム画面のアイコンから表示できた
外出先で見るときは、スマホのTailscaleがオンになっている必要があります。見終わったらオフにしても構いません。
困ったときは
| 症状 | 確認すること |
|---|---|
| 急に表示されなくなった | ラズパイの電源が入っているか。家のWi-Fiにつないだパソコンから手順3で接続して、~/v2h-remote-kit/.venv/bin/python ~/v2h-remote-kit/doctor.py を実行し、結果を手順7のチェッカーに貼ってください。 |
| ある機器だけ「応答なし」になる | 機器のIPアドレスが変わった可能性があります。sudo systemctl stop v2h-remote のあと手順6をやり直し、sudo systemctl start v2h-remote で再開します。 |
| 今日の発電量などの数字が大きすぎる・小さすぎる | 機器によって積算値の単位が規格と違うことがあります(実例)。メーカーのアプリの値と比べ、config.toml の [scale] の係数を調整します。 |
| キットを止めたい・やめたい | sudo systemctl disable --now v2h-remote で止まり、起動時にも動かなくなります。 |
うまく進まないときは、お問い合わせフォームから、次の3点を送っていただけると原因を探しやすくなります。
- どの手順で止まったか(例:手順6)
- 結果チェッカーに貼った内容
- 機器のメーカー(V2H・蓄電池・太陽光)
仕組みや、途中で分かった計測の落とし穴は、V2Hの公式アプリが家の外で使えない理由と、ラズパイで外から見られるようにした記録で詳しく紹介しています。