太陽光を13kWに増やしても、冬の発電は約2倍|北向きの屋根に載せたパネルの実力を実測で確かめた
2026年9月、我が家は太陽光を4.18kWから13.00kWに増設しました。容量は3.1倍です。ところが増設後の発電を天気の差をならして比べると、1kWあたりの実力は増設前の約83%しかありませんでした。原因は屋根の向きです。増設したパネル18枚のうち9枚は、北北東を向いた面に載っています。この記事では、増設後の実測と日射のデータから、北向きのパネルが季節によってどれだけ弱くなるかを確かめ、この冬の発電と買電を見積もります。北向きの屋根に載せるかどうか迷っている人の判断材料にもなるはずです。
我が家の屋根:4つの面に分けて載せている
我が家の屋根は、4つの面が中央の棟に向かって傾く寄棟(よせむね)屋根で、勾配は4寸(約22度)です。家を建てたときは、いちばん南に近い南南西の面だけにソーラーフロンティアのパネルを22枚(4.18kW)載せていました。
今回の増設で、LONGiの490Wパネルを18枚(8.82kW)追加しました。ただ、南南西の面はすでに埋まっているので、残りの3つの面に分けるしかありません。
| 屋根の面 | パネル | 容量 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 南南西 | ソーラーフロンティア 22枚(既存) | 4.18kW | 32% |
| 北北東 | LONGi 9枚(増設) | 4.41kW | 34% |
| 西北西 | LONGi 6枚(増設) | 2.94kW | 23% |
| 東南東 | LONGi 3枚(増設) | 1.47kW | 11% |
いちばん容量が大きいのは、実は北北東の面です。北寄りの面(北北東と西北西)を合わせると、全体の半分以上になります。
天気の差をならして、実力を比べる
発電量は天気でいくらでも変わるので、そのまま比べても実力は分かりません。そこで、その日(その月)に地面に届いた日射の量で発電を割り、「日射1あたり、パネル1kWあたりにどれだけ発電したか」で比べました。
| 期間 | 発電 ÷(kW × 日射) | |
|---|---|---|
| 増設前(4.18kW・南南西のみ) | 2022〜2025年の9月の平均 | 0.73 |
| 増設後(13.00kW・4つの面) | 2026年9月13日〜10月2日 | 0.61 |
| 増設後の実力(増設前=100) | 83 | |
パネル1kWあたりの実力は、増設前の83%でした。もし増設した18枚がすべて南南西を向いていたら、ほぼ100%になっていたはずです。発電量でいうと、容量どおりなら増設前の3.1倍になるところが、9月で約2.6倍にとどまっています。
・増設後の発電:自宅のラズパイがパワコン2台から30秒〜1分ごとに読み取った、パネルからの入力の積算値。
・増設前の発電:HEMS(AiSEG2)の月別の発電量。
・日射量:Open-Meteoの過去の気象データ(自宅の緯度・経度の、水平な地面に届いた1日の日射量)。
・記録がそろっていない増設直後の2日間(9月11・12日)は除いています。
晴れた日の発電の形が、面の違いを語っている
我が家のパワコンは2台あり、増設したLONGiの18枚と、既存のソーラーフロンティアの22枚は、それぞれ別のパワコンにつながっています。そのため、増設分と既存分の発電を分けて見ることができます。快晴だった9月30日の出力を、パネル1kWあたりに直して並べると、形がはっきり違いました。
既存の南南西の面は、太陽が南に来る12時台に1kWあたり約0.79kWの山があります。一方、増設した3つの面を合わせた出力は、朝は東南東、夕方は西北西の面が稼ぎ、昼は約0.55kWで平らです。北北東の面は、太陽が高い昼の時間帯でも南の面ほどは光を受けられません。
なお、増設側のパワコンは出力の上限が4.95kWで、蓄電池が満タンの昼は少し頭打ちになっていました。ただ、その分は1日の発電の2〜3%ほどで、実力が83%にとどまる理由の大部分は向きのほうです。
北向きの面は、季節でどれだけ変わるか
北向きの面が弱いのは、太陽が低い季節ほどです。屋根の向きと勾配、月ごとの日射のデータから、面ごとの発電を計算しました(南南西の面を1としたときの、1kWあたりの発電)。
| 屋根の面 | 6月 | 9月 | 12月 | 1年間 |
|---|---|---|---|---|
| 南南西(既存) | 1 | 1 | 1 | 1 |
| 東南東 | 約1.0 | 約0.95 | 約0.85〜0.9 | 約0.95 |
| 西北西 | 約1.0 | 約0.8 | 約0.55 | 約0.8 |
| 北北東 | 約1.0 | 約0.75 | 約0.4 | 約0.75 |
北北東の面は、太陽がほぼ真上を通る6月なら南の面と変わりません。それが9月には4分の3、12月には4割まで落ちます。1年を通すと南の約75%です。4寸の勾配だと、冬の低い太陽は北向きの面にはほとんど当たらないということです。
この計算は、9月の実測(実力83%)とほぼ一致しました。計算では約87%で、残りの差は昼の頭打ちなどだと考えています。計算に使った屋根の向きには、割付図と実際の見た目で15度ほどの幅があるので、表の数字にも幅を持たせています。
この冬の発電と買電の見込み
面ごとの計算を、増設前4年分の月別の発電実績に当てはめると、この冬の発電は次のようになる見込みです。
| 月 | 発電の見込み | 1日あたり | 増設前の何倍 | 買電の見込み | 増設前の買電 |
|---|---|---|---|---|---|
| 11月 | 約620kWh | 約21kWh | 2.1倍 | 約300kWh | 約560kWh |
| 12月 | 約450kWh | 約15kWh | 2.0倍 | 約830kWh | 約1,000kWh |
| 1月 | 約520kWh | 約17kWh | 2.0倍 | 約700kWh | 約940kWh |
| 2月 | 約690kWh | 約25kWh | 2.3倍 | 約450kWh | 約780kWh |
| 3月 | 約1,070kWh | 約34kWh | 2.5倍 | 約270kWh | 約720kWh |
冬の家の消費は1日38〜40kWhあります(エコキュートと暖房が増えるため)。12月と1月は発電が1日15〜17kWhしかないので、どれだけ上手に貯めても、毎日20kWh以上は買うことになります。9月は買電が3分の1になりましたが、12月は2割ほどしか減らない見込みです。11月と3月は、ほぼ買わずに済む日も多くなりそうです。
12月と1月は買電の量を減らせない分、買う時間帯を変えることに力を入れます。我が家では、翌日の天気予報から発電の不足分を計算し、前日の夜(0〜5時)に安い夜間電力で蓄電池を満たす制御を、自宅のラズパイで動かしています。昼の単価(約30円/kWh)で買うはずだった分を夜の単価(約20円/kWh)に置き換えられるので、12月で月2,000円前後の差になる計算です。年間では、増設後の発電は約12,500kWh(増設前の約2.6倍)を見込んでいます。
北向きの屋根に載せるかどうか
それでも、北北東の面に載せたことを後悔はしていません。理由は3つです。
- 1年を通せば南の約75%は発電する。4寸程度の勾配なら、北向きでも「ほとんど発電しない」わけではありません。とくに春から夏は南とほぼ同じです。
- 春〜秋の夕方と朝に強い。東西の面と組み合わせると、発電が朝夕に広がり、蓄電池が満タンになる前の時間帯に家で使える電気が増えます。
- パネル1枚あたりの値段が下がった。屋根の面を増やすことで足場や工事の手間は増えますが、パネルそのものは以前よりずっと安くなっています。
ただし、見積もりのシミュレーションが「容量×南向きの発電量」で出ていないかは、必ず確認したほうがいいです。我が家の場合、容量どおりなら年間で約15,000kWhのところ、向きを入れると約12,500kWhで、2割近く違います。冬の電気代をどれだけ減らしたいのかによっても、北向きの面の価値は変わります。
ご自宅の屋根の向きでどう変わるかは、シミュレーターで方位を変えて試算できます。見積書の見方は相見積もりの見方、パネル選びはパネルメーカーの選び方も参考にしてください。
まとめ
- 増設パネル18枚のうち9枚は北北東、6枚は西北西、3枚は東南東の面に載せた
- 天気の差をならすと、増設後の1kWあたりの実力は増設前の83%
- 北北東の面は、6月は南とほぼ同じ、12月は南の約4割、1年では約75%
- 12月の発電は増設前の約2倍の見込みで、買電は2割ほどしか減らない
- 冬は量より「買う時間」を変える。夜間に蓄電池を満たす制御で、12月は月2,000円前後
- この冬の実測で答え合わせをして、追記する