Report

V2Hから電気が半分しか出ていない?|原因は配線工事のミスでした

カテゴリ:実録 / 最終更新:2026年8月

V2Hを設置してEVが納車され、いよいよ稼働。ところが画面を見ると、家で使っている電気の半分しか車から給電されていません。故障なのか、仕様なのか、それとも自分の設定ミスなのか。ここでは、その症状に気づいてから原因が判明するまでの実際の経過を、当時の画面とあわせて公開します。結論を先に言うと、原因は機器の故障ではなく電気配線工事の誤りでした。

執筆:太陽光・蓄電池・V2Hシミュレーター_全国版 運営者
福岡県で太陽光4.18kW+V2H(単機能型)を運用中。蓄電池14.3kWhと太陽光の増設は導入予定です。記事はHEMSの実測値・検針票・メーカーのカタログ値にもとづいて書いています。運営者情報
この記事は運営者宅で実際に起きたことの記録です。同じ症状がすべて同じ原因とはかぎりませんが、「導入直後に何を確認すべきか」の参考になるはずです。最後の章にまとめました。

症状:同じ時刻の2つの画面が食い違う

異変に気づいたのは、V2Hのスマホアプリと、家のHEMS(住宅のエネルギー管理システム)を同時に見たときでした。下の2枚はまったく同じ時刻に撮ったものです。

V2Hのスマホアプリ。タイマー放電中で、EVから家へ1.0kWを給電していると表示されている
V2Hアプリ(20:28)
「タイマー放電中」。EVから家へ 1.0kW を送っている表示。
同時刻のHEMS画面。使用電力2.1kWのうち車からの給電は49%で、残りは電力会社から買電中と表示されている
HEMS(同じ20:28)
使っている電気は 2.1kW。うち車からは 49% で、残りは「買電中」。

家では2.1kW使っているのに、車から出ているのは1.0kW。ちょうど半分です。残りは電力会社から買っていることになります。しかもこれがたまたまではなく、いつ見ても常に約50%でした。

V2Hを入れた目的は、昼間の高い時間帯に電気を買わずに済ませることです。半分しか給電されないなら、期待した効果は半減してしまいます。

ちなみに給電の時間帯設定(タイマー)は、深夜料金が終わる7時〜21時にしていました。設定そのものは意図どおりで、時間帯の指定ミスではありません。

切り分け:本当に半分しか出ていないのか

ここで一度立ち止まりました。「実際に半分しか出ていない」のか、「表示だけが半分になっている」のかで、話がまったく変わるからです。前者なら機器かEV側の問題、後者なら計測や表示の問題です。

確かめる方法があります。電力会社から実際に買った電力量を見ることです。契約している電力会社の会員サイトでは、1時間ごとの購入電力量が確認できます。もし本当に半分しか給電されていないなら、給電中の時間帯にもそれなりの量を買っているはずです。

HEMSの買電量画面。1日の時間帯別グラフで、昼間の高い時間帯はほとんど買電していない
同じ日の買電量(時間帯別)
グラフ下の帯が料金の時間帯を示していて、赤い帯が高い時間帯(26.84円)、青い帯が安い夜間(13.21円)。高い時間帯の買電が、ほとんど立ち上がっていません。

結果は明快でした。昼間の高い時間帯は、ほとんど電気を買っていません。つまり給電自体は正しく行われていて、画面の表示だけが実際と食い違っている、という状態だったわけです。

ここが分かったことで、「機器が半分しか働いていない」ではなく「電気の流れをどこかで取り違えて計測している」という方向に、原因の見当がつきました。

調査:メーカーに問い合わせてから判明するまで

ここからは、実際にたどった経過です。

  1. V2Hメーカーのコールセンターへ連絡。症状を伝え、まずは電話口でのやり取りが始まりました。
  2. ハウスメーカーから電気配線の図面を取り寄せて確認。メーカー側で図面を見て調べてもらいましたが、この時点では原因不明でした。
  3. 代理店の担当者が訪問して現地調査。それでも原因は特定できず、機器のデータを吸い上げて持ち帰りとなりました。
  4. 数日後、ハウスメーカーの現場監督から連絡。「電気配線の工事が間違っていたので、やり直しに来ます」という内容でした。
  5. 後日、是正工事を実施。作業後、表示は正常になりました。

原因は、機器の故障でもEVの問題でもなく、住宅側の電気配線工事の誤りでした。あとで聞いた話では、その地域でV2Hを設置したのは我が家が初めてだったそうです。前例のない工事では、こうしたことも起こり得るのだと思います。

連絡してから是正までは、迅速に対応してもらえました。ここで言いたいのは施工の批判ではなく、新しい設備は前例が少ないぶん、施主側でも動作を確認したほうがいいということです。気づかなければ、そのまま何年も半分の効果で使い続けていたかもしれません。

是正後:買電の矢印が消えた

下は是正工事のあと、翌月に撮った同じHEMSの画面です。

是正工事後のHEMS画面。使用電力1.3kWに対し車から65%給電され、電力会社からの買電の矢印が表示されていない
是正工事のあと
使っている電気1.3kWに対し、車からの給電は 65%電力会社からの「買電中」の矢印が消えています。太陽光もわずかに発電している時間帯です。

不具合のときは、家の使用電力と並んで必ず買電の矢印が出ていました。それがなくなり、車からの給電で家をまかなえている状態になっています。表示と実態が一致した、ということです。

導入直後に、自分で確認しておきたいこと

この一件から得た教訓は、「動いているように見える」と「正しく動いている」は別だということです。V2Hや蓄電池を導入したら、最初の数日で次の点を確認しておくことをおすすめします。

1. 同じ時刻に、2つの画面を見比べる

機器側のアプリと、家のHEMSを同時刻で突き合わせます。給電量と使用電力の関係が説明できるか。今回のように「ちょうど半分」のようなきりのいい食い違いが出たら、まず疑ってよいと思います。

2. 電力会社の会員サイトで、時間帯別の買電量を見る

これがいちばん確実です。機器のメーカーとは別系統の、電力会社が計測した数字だからです。給電しているはずの時間帯に買電が立っていれば実際の問題、立っていなければ表示側の問題、と切り分けられます。多くの電力会社が、1時間単位のデータを無料で公開しています。

3. 給電の時間帯設定が意図どおりか

タイマーの設定時刻を確認します。単価の高い時間帯に給電し、安い夜間に充電するのが基本の考え方です。料金プランの時間帯と噛み合っているかを見てください。

4. 停電時の切替方法を、実際にやってみる

単機能型のV2Hは、停電時に手動での切替操作が必要な機種があります。取扱説明書を読むだけでなく、一度実際に操作してみてください。本当に必要になるのは、暗い中で慌てているときです。家族全員が手順を知っているかも確認しておきましょう。

5. 記録を残しておく

画面のスクリーンショットや写真を、日付が分かる形で残しておいてください。今回、症状を説明できたのは同時刻の2枚があったからです。口頭で「半分くらいしか出ていない気がする」と伝えるのと、画面を2枚見せるのとでは、調査の進み方がまったく違います。

新築で導入する場合、こうした確認は引き渡し後できるだけ早い時期に行うのがおすすめです。時間が経つほど「元からこういうものだった」と思い込みやすくなりますし、施工側との窓口も細くなっていきます。

まとめ

我が家では現在も、この設備の実測値を日次で記録して公開しています。実際の発電量・消費量・買電量・売電量は我が家の電力収支ノートをご覧ください。ご自宅の条件での試算はシミュレーターで行えます。

関連記事