V2Hから電気が半分しか出ていない?|原因は配線工事のミスでした
V2Hを設置してEVが納車され、いよいよ稼働。ところが画面を見ると、家で使っている電気の半分しか車から給電されていません。故障なのか、仕様なのか、それとも自分の設定ミスなのか。ここでは、その症状に気づいてから原因が判明するまでの実際の経過を、当時の画面とあわせて公開します。結論を先に言うと、原因は機器の故障ではなく電気配線工事の誤りでした。
福岡県で太陽光4.18kW+V2H(単機能型)を運用中。蓄電池14.3kWhと太陽光の増設は導入予定です。記事はHEMSの実測値・検針票・メーカーのカタログ値にもとづいて書いています。運営者情報
症状:同じ時刻の2つの画面が食い違う
異変に気づいたのは、V2Hのスマホアプリと、家のHEMS(住宅のエネルギー管理システム)を同時に見たときでした。下の2枚はまったく同じ時刻に撮ったものです。
「タイマー放電中」。EVから家へ 1.0kW を送っている表示。
使っている電気は 2.1kW。うち車からは 49% で、残りは「買電中」。
家では2.1kW使っているのに、車から出ているのは1.0kW。ちょうど半分です。残りは電力会社から買っていることになります。しかもこれがたまたまではなく、いつ見ても常に約50%でした。
V2Hを入れた目的は、昼間の高い時間帯に電気を買わずに済ませることです。半分しか給電されないなら、期待した効果は半減してしまいます。
切り分け:本当に半分しか出ていないのか
ここで一度立ち止まりました。「実際に半分しか出ていない」のか、「表示だけが半分になっている」のかで、話がまったく変わるからです。前者なら機器かEV側の問題、後者なら計測や表示の問題です。
確かめる方法があります。電力会社から実際に買った電力量を見ることです。契約している電力会社の会員サイトでは、1時間ごとの購入電力量が確認できます。もし本当に半分しか給電されていないなら、給電中の時間帯にもそれなりの量を買っているはずです。
グラフ下の帯が料金の時間帯を示していて、赤い帯が高い時間帯(26.84円)、青い帯が安い夜間(13.21円)。高い時間帯の買電が、ほとんど立ち上がっていません。
結果は明快でした。昼間の高い時間帯は、ほとんど電気を買っていません。つまり給電自体は正しく行われていて、画面の表示だけが実際と食い違っている、という状態だったわけです。
ここが分かったことで、「機器が半分しか働いていない」ではなく「電気の流れをどこかで取り違えて計測している」という方向に、原因の見当がつきました。
調査:メーカーに問い合わせてから判明するまで
ここからは、実際にたどった経過です。
- V2Hメーカーのコールセンターへ連絡。症状を伝え、まずは電話口でのやり取りが始まりました。
- ハウスメーカーから電気配線の図面を取り寄せて確認。メーカー側で図面を見て調べてもらいましたが、この時点では原因不明でした。
- 代理店の担当者が訪問して現地調査。それでも原因は特定できず、機器のデータを吸い上げて持ち帰りとなりました。
- 数日後、ハウスメーカーの現場監督から連絡。「電気配線の工事が間違っていたので、やり直しに来ます」という内容でした。
- 後日、是正工事を実施。作業後、表示は正常になりました。
原因は、機器の故障でもEVの問題でもなく、住宅側の電気配線工事の誤りでした。あとで聞いた話では、その地域でV2Hを設置したのは我が家が初めてだったそうです。前例のない工事では、こうしたことも起こり得るのだと思います。
是正後:買電の矢印が消えた
下は是正工事のあと、翌月に撮った同じHEMSの画面です。
使っている電気1.3kWに対し、車からの給電は 65%。電力会社からの「買電中」の矢印が消えています。太陽光もわずかに発電している時間帯です。
不具合のときは、家の使用電力と並んで必ず買電の矢印が出ていました。それがなくなり、車からの給電で家をまかなえている状態になっています。表示と実態が一致した、ということです。
導入直後に、自分で確認しておきたいこと
この一件から得た教訓は、「動いているように見える」と「正しく動いている」は別だということです。V2Hや蓄電池を導入したら、最初の数日で次の点を確認しておくことをおすすめします。
1. 同じ時刻に、2つの画面を見比べる
機器側のアプリと、家のHEMSを同時刻で突き合わせます。給電量と使用電力の関係が説明できるか。今回のように「ちょうど半分」のようなきりのいい食い違いが出たら、まず疑ってよいと思います。
2. 電力会社の会員サイトで、時間帯別の買電量を見る
これがいちばん確実です。機器のメーカーとは別系統の、電力会社が計測した数字だからです。給電しているはずの時間帯に買電が立っていれば実際の問題、立っていなければ表示側の問題、と切り分けられます。多くの電力会社が、1時間単位のデータを無料で公開しています。
3. 給電の時間帯設定が意図どおりか
タイマーの設定時刻を確認します。単価の高い時間帯に給電し、安い夜間に充電するのが基本の考え方です。料金プランの時間帯と噛み合っているかを見てください。
4. 停電時の切替方法を、実際にやってみる
単機能型のV2Hは、停電時に手動での切替操作が必要な機種があります。取扱説明書を読むだけでなく、一度実際に操作してみてください。本当に必要になるのは、暗い中で慌てているときです。家族全員が手順を知っているかも確認しておきましょう。
5. 記録を残しておく
画面のスクリーンショットや写真を、日付が分かる形で残しておいてください。今回、症状を説明できたのは同時刻の2枚があったからです。口頭で「半分くらいしか出ていない気がする」と伝えるのと、画面を2枚見せるのとでは、調査の進み方がまったく違います。
まとめ
- V2Hの給電が家の使用電力の約50%しかない、という症状が発生した
- 電力会社の時間帯別データと突き合わせた結果、給電は正常で、表示だけが食い違っていたと判明
- メーカー調査を経て、原因は住宅側の電気配線工事の誤りだった
- 是正後は買電の矢印が消え、表示と実態が一致した
- 導入直後は、機器のアプリ・HEMS・電力会社のデータという3系統を突き合わせて確認しておくと安心
我が家では現在も、この設備の実測値を日次で記録して公開しています。実際の発電量・消費量・買電量・売電量は我が家の電力収支ノートをご覧ください。ご自宅の条件での試算はシミュレーターで行えます。